20歳を前に転職をした。今迄務めていたお店が閉店したからだ。新しい勤務先は同じエルナード内のジュエリー店で社長同士が知り合いで紹介してくれた。
18金、プラチナ、天然石、パールなど高価なものを扱っていた。狭いお店で40代の太っている社長がいつもお店の真ん中がカウンターの内側なのだが、そこに張り付いていた。社長が制服として紺色のワンピースを購入してくれて、更衣室がなかったので購入したお店で毎朝着替えて出勤していた。そのお店の店長と社長は知り合いだったらしい。実はこのジュエリーショップは18歳の時にピアスを空けたお店だ。誕生石を覚えたり、商品を磨いたり、自分が買うなら何にしようかな?なんて考えながら仕事をしていた。もちろん、ちゃんと接客もしていた。でも、あまり知識がないパールの接客をしなさいと言われた時は嫌だった。教わった通りしたが、20歳そこそこの小娘に50万円もする商品のローンを組みたいと思うか?一回はお客様も納得されてお帰りになったがしばらくしたら戻って来た。「そりゃそうだ」その後なにを話したのか覚えていない。
そのお店は家族経営で高校生の息子が放課後に手伝いに来ていた。その子が「親父口臭いでしょ、ごめんね、胃が悪いんだよ」と言ってきた。確かに臭くて辟易していた。しかし息子に謝られたらしかたない。「はい」とだけ言った。そのお店に私が欲しいピアスが売っていた。丸玉のピアスが二つチェーンで繋がっているのだ。両耳に1つづづ空いている私はそのピアスがしたくてもう一つ開ける予定だった。仲の良い女性先輩にも話していた。20歳の誕生日に購入しようと決めていた。当日出勤したら商品が売れていた。「しかたないですいねぇ~、あれ、可愛かったですものね~」とこぼした・・・。そしたら、その先輩が「誕生日おめでとう!」ってプレゼントをくれた。開けたら私が欲しがっていたピアスだった!!社長もあこや真珠の18金ピアスをプレゼントしてくれた!!本当に嬉しかった!!
つづく。
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