セサミ・テニススクールに就職した。私はバイクで通勤していた。フロントは全員女性だったがテニスコーチのはとんどが男性。社員はわずかで大学生のアルバイトが多かった。
フロントのチーフの女性とコーチ(男性社員)は不倫で周知のなかだった。
朝、出勤する時「おはようございます!」と笑顔でカウンターに入っていた。1か月くらいしてからだろうか、先輩に「凜が朝、おはようございます!って笑顔で入って来るのがイラつくっ!」と言われた。私は、そんな事が怒る理由?って驚いて何も言えなかった。その先輩はその後辞めた。いつもイライラしている人だった。
社員は勤務時間以外、生徒の余裕があるクラスに無料で入れた。テニスラケットなど、テニスに必要なグッズも社割で購入出来たので揃えた。ラケットのガットをコーチが張ってくれたのだが、ラケットに名前とレベルを知るためにクラスを書く。私はなぜか名前を「李 美華」と書いた。私は昔から下らない嘘をよくついた。小学生の時は「ウチの押し入れは隣の家に続いている」「台湾と日本のハーフ」etc。
コーチに「李 美華は私です。ごめんなさい」と謝った。「こんな人いたかな~?って思ってたんだよ」と言われた。
仕事は忙しかった。日曜日は6時半からレッスンがあったので、その時は5時起きで大急ぎで出勤していた。年中電話が掛かってくるのでお昼休みもゆっくりできなかった。
同期のちあきちゃんではなくて、先輩だが同じ年の明子と仲良くなり一緒に台湾旅行に行く事になった。航空会社とホテルだけ旅行会社に頼んであとは自由のプランだった。現地にはまだお世話になったUCCの中嶋さんがいた。連絡を取ったら案内するから安心してと言われた。
エステを受けようと元職場にも予約を入れておいた。出発当日、上野の京浜線で待ち合わせをした。明子はお父さんが車で送りに来てくれていた。私のウチと大して遠くない、迎えに来てくれたら良くしてあげようかと思ったが、やめた。「どこに行きたい」とか自発的に言う子ではなかった。台湾に着いてまずはホテルにチェックインした。その後そごうデパートに向かうためにタクシーに乗った。行先を言ったのだが、以前住んでいたマンションの住所を言ってしまい、慌てて、止めてもらい降りた。歩いてそごうデパートへ。エステへ行ったら副店長がフロントにいた。「あれ?先月じゃなかったの?」と言われた。副店長は予約を間違えていたのだ。「今日は空いてますか?」と聞いたら「いっぱい」とだけ言われた。えーーっと思った。日本からわざわざ来てるのに・・・。ひどいなぁ~と思った。明子も何にも言わない。しかたないので、ヘアーサロンでスタイリングをしてもらった。
それから、中嶋さんと合流した。私達のために仕事を休んでくれた!忘れてしまったが色々な所を案内してくれた。明子が楽して楽しめるのも私のお陰だ。なのにお礼の一言もない。何でも人まかせだった。私はツアーガイドではない。いい加減頭に来ていた。中嶋さんが夜遊びに誘ってくれた。一応明子にも行くか聞いてみた。「ホテルにいる」と言うのでやっと私は自由に遊んだ。中嶋さんはスナックや、ダンスホール(台湾で流行っていたのだろう)など連れて行ってくれた。
前年、帰国する前にオーダーでチャイナ・ドレスを作った。ドレスとボレロのセットだ。その時は太っていて64キロあった。帰国して色々あって痩せていき、10キロ以上痩せていた。そのドレスがブカブカになってしまってので直しに出した。明子はオーダーで作っていた。私は「どうしてそんなに瘦せたのか?」と何度も聞かれて困った。失恋したのだ。
なんだかんだで台湾の旅も終わり、帰り際有名なホテル「圓山大飯店」へ寄った。とても趣のあるホテルだった。
帰って来てから、仕事は上手くいっていたのだが、テニス・コーチに大学生の女の子がいた。私がバイクで通勤していると何時も駅の改札付近の道にいる。それを見つけた時、ラケットとか荷物が多そうだったので、バイクを止めて「荷物持って行ってあげるよ」と言って持って行った。「ありがとうございます。」とはじめは言っていたが、3度目くらいに「持って行こうか?」と聞くと「いいです」と断られた。「?」と思ったが、どうやら同じコーチの仲間が車で通りがてらピックアップしてくれるらしい。その子が曲者だった。
あるイベントの執行の際、会場を下見にその子と2人で行った。その頃、フロント内部がギスギスしていて外からどう映るか気になってその子に「フロントギスギスしてる?」と聞いてみた。それが「フロントがギスギスしてて嫌だ」になって広がってしまった。又、1度失敗した仕事でチーフコーチに目を付けられていた。そのコーチの耳に入り、魔女狩りが始まった。同期のちあきちゃんも、たまたまその時ミスをしてしまった。そのチーフコーチはえらい怒っていた。私とちあきちゃんは吊し上げになってしまった。社長に相談したが、全く解決せず、私達は退職した。
つづく。
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